世界車旅行 ~Wild Animal Driving~
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背景:nana

【 モロッコ ドライブ ③ 】さあ出発!アトラス山脈を越えてワルザザートへ!アトラス山脈を運転するコツをお伝えします!

モロッコ王国

ついに,今回のモロッコドライブの山場,『アトラス山脈越え』です!
楽しい楽しいドライブですが,日本と同じように運転というわけにはいきません…
いろいろと問題も勃発…

2017年3月のモロッコ旅行の日程についてはこちら↓

【2017年3月14日】アトラス山脈をレンタカーで越えよう!(マラケシュ→アトラス山脈)

天気晴れ.

前日は曇って風も吹いていたのに,今日は絶好のドライブ日和です!

さあ,いよいよアトラス山脈を越えて砂漠のカスバ街道に抜けて,そこからサハラ砂漠の入り口メルズーガまで進めていきましょう!

まずはKが運転します.
スーパー初心者のnanaにアトラス山脈越えは,上りはまだいいけど,下りはガードレールのない道で真っ逆さまに落ちる危険がありますから…

【アトラス山脈】モロッコの南北移動を阻む難所

アトラス山脈はアフリカ北端にある山脈で全長は2,500km,ほぼ日本の本州の全長に匹敵します.
最高峰はツブカル山の標高4,167mです.

日本の道路工事技術なら,多分関越道の谷川岳のトンネルのように,山をぶち抜くトンネルを作って,山の南北地域の往来を活発にしようと考えるのでしょう.
しかし,アトラス山脈を越えるトンネルは未だ工事中です.
だから万年雪が残るおおよそ標高3,000m地点まで山をくねくね道で登って,山と山の間を通って反対側に抜けて,またくねくね道で反対側に降りていく,といった感じで山越えをします

かつてはこの道を北からロバや馬で越えてゆき,砂漠の街から砂に適したラクダに乗り換えて多くの交易商人が行き交いました.

アトラス山脈はその難所の一つだったのですが,現在では舗装された道路をトラックが行き交い,その美しいパノラマビューですっかり有名になりました.

モロッコに観光にやってくる多くの旅人は,マラケシュまで公共交通機関でやってきて,そこで旅行会社のツアーに申し込み,マラケシュ→アトラス山脈→ワルザザードと進んできます.
実際にマラケシュの旧市街のジャマ・エル・フナ広場を観光で歩いているとこのツアーの客引きにかなりの確率で声をかけられます.
ツアーは大体2泊3日で砂漠の街へと往復するもので,まあ,これを使えばラクチンなのですが…

せっかくの休みなのに集団行動?仕事でも苦手なのにー(純系B型).

…と言うことで,私たちは当然自分で運転です.

【アトラス山脈を越えるルート】私たちは国道9号線N9を使いました

アトラス山脈を越えるルートはいくつかありますが,一番オーソドックスなのが,マラケシュから南東方面に伸びる国道9号線N9で越えるルートです.
今回私たちもこのルートを選択しました.

【運転注意!】好調な走りを見せるK . そして行く手を阻む大きな影…

初めは好調に平地を山のほうに向かって走ります.

運転中横を,恐ろしいスピードで旅行のSUV車やワゴン車が抜き去っていきます.
多分あれがツアーの車で,今日中にアイトベントハッドゥのベルベル人集落を見学してワルザザード,そしてサハラ砂漠のキャンプ地まで一気に行く気なのでしょう.
うん.私たちもそのつもりなんですけどねー.

1時間ちょい走っていくつかのラウンドアバウトを抜けていよいよ山に差し掛かりました.
時間はまだ10時前だったと思います.
ヘアピンカーブをどんどん登っていきます.

すると…あれ,なんだこりゃ?
前方にトラックが横転して人が出て話し合ってるではありませんか!
ああ,荷物の積載量が大きすぎる上に,重いものを下に積むと言う「重心を低くする」仁義を守らなかったんですねー.
助けを求められなかったのでそのまま前に進んでいきます.
私たちは今日中にメルズーガにたどり着かなくてはいけません!

順調に走っていると,
今度はトラックが止まりそうなスピードで山をあがっています.
トラックの後ろを半クラッチでトロトロ追跡し,対向車がいなくなったら追い越し,半クラ,追い越し,半クラ,追い越し,半クラ,追い越し…
半分くらい上ったところでワゴンバスがたくさん止まっている売店があったので少し休憩.
流石に,久しぶりのマニュアル車で半クラパレードは疲れます…

いま走ってきた道が休憩所から見えます.
アトラス山脈の北側は,雨がそこそこ降るので,養分が雨水に溶けて流れ出てしまった痩せた赤い大地が広がっています.

ここにはツアーに参加したと思しき日本人の女の子もいました.
会釈し合いましたが,多分あの人たち,どうやってきたんだろ?って思われてるでしょうねー.

さあ,ドライブ再開です.
抜いたはずのドンガメトラックに休憩中また抜かれたので,再び抜き返します.
道の険しさはこれまで以上になり,トラックは苦しそうに黒煙を吹き上げて煙幕攻撃を仕掛けてきます

全部抜いてしばらく進むと土が乾燥して薄い色の世界になりました.
植物は消え,遠くの山に万年雪が見え始めます.
ようやく山の頂上にたどり着きました!

アトラス山脈の頂上より

【アトラス山脈による恩恵】アトラス山脈に眠る地下資源

頂上で雄大な景色に見惚れていると,おばさんが近づいてきます.
現地の人のようですが…なんでしょう.
よく見ると,手に拳大の灰色がかった石を持っているようです.
石…?

石を手に持つ<br>おばさん
石を手に持つ
おばさん

きれいでしょ??
お土産にいいから,買っててよ!

そう言って,おばさんは手に持っていた石を開いて見せます.
石の断面には紫の透き通った柱状の凹凸があり,日の光で輝いていました.

石榴石(ざくろいし)です.
外見はただの石ですが,割ると水晶の綺麗な結晶が並んでいます.
結構たくさん取れるらしく,あちこちの道端で売っていて,休憩していたりするとよく売りにきました.

アトラス山脈は,アフリカ大陸とユーラシア大陸プレートのちょうど境界にあたる山脈で,他にも様々な地下資源が存在しています.
例えば,ここではリン鉱石が取れ,世界有数の採掘量を誇っています.(2016年の統計ではモロッコはリン酸肥料の生産量世界4位です.)
高校の地理の教科書にも載っているので,知っている人もいるかもしれません.

アトラス山脈は移動するには不便ですが,貴重な資源をもたらしてくれるモロッコの人たちには欠かせない存在でもあるのです

【下り坂では運転注意!】必ずエンジンブレーキを活用しよう!

さて,ここからは下りです.
これだけ急勾配の下り坂だと,フットブレーキを使いすぎるとペーパーロック現象やフェード現象が起きてしまい,踏んでも踏んでもブレーキが効かなくなる恐怖を味わうことになります.

ペーパーロック現象

フットブレーキを使いすぎると,ブレーキをかける時に働いている油圧ポンプの油が「沸騰した」状態になります.
水鉄砲に水だけでなく空気を入れてしまうと水が勢いよく飛ばなくなるように,
沸騰により生じた気泡が油に混じりブレーキを踏んでも力がブレーキに伝わらなくなります.これを,ペーパーロック現象といいます.
フェード現象

フットブレーキは油圧ポンプの先に自転車のように「ブレーキパッド(ゴム)」がついていて,タイヤの回転を止めています.
しかし,使いすぎるとゴムが溶けてしまったり,フニャっとなってしまったりしてどこかに挟まりブレーキが効かなくなることがあり,これをフェード現象といいます.

こうなってしまったら,ガードレールに車を擦って止めるか自主的に道路外の荒地に突っ込むかの二択になりますが,ここは断崖絶壁ですからねー…。山肌に自分で突っ込んで止める以外に手がないですね.ああ怖い.

だから,こう言う道では変速機を速度に合わせて「3」「2」「1」のどれかに入れて,自然にスピードが落ちるエンジンブレーキを使う必要があります
下り坂はとにかく早めにシフトダウンしてスローイン・ファストアウトを心がけましょう.

手に汗握る山道がだんだん平地に変わると,街並みが茶色とピンクのサハラ砂漠のまちの色に変わってきました.
そして程なくワルザザートです.

【ワルザザート】砂の中の城壁都市

旧市街の建造物群 Kaourirt Kasbah

ワルザザートに到着!
旧市街の建造物群Kaourirt Kasbahを少し見物しました.

カスバKasbahとは,アラブ諸国における城塞に囲まれた居住地区のことをいいます.
赤茶色の壁には階段状の彫りが施され,素朴な模様ながらも,城壁の美しさを際立たせていました.
窓には様々な細工の施された格子がはまり,空の青さとの対比を作り出しています.

敵の侵入を阻むためでしょう,城塞都市内の道は迷路のように入り組み,建造物内も大小様々な部屋が不規則に連なっています.

迷路の先には澄み渡る空.
空気は乾燥していて,雲一つありません.

ついに,砂漠の入り口に着いたのだと実感しました.

格子の先には青空
迷路のような細道を抜けると,そこには透き通るような青空が広がる

アトラス山脈を越えた!時は満ちた!ここからは任せろ!

さて,この段階ですでに14時前です.山越えに随分時間がかかってしまいました.

ワルザザードを抜けて見通しの良い場所で,Kは右に寄せて車を止めました.

K
K

じゃあ,ここから運転よろしくねー

ここからいよいよnanaの初運転です
1ヶ月前に免許を取ったばかりで,日本での運転経験もゼロです.
なのにいきなり一発目が海外,しかもマニュアル車,左ハンドルです.

果たしてどうなることやら…次回に続きます!

<2017年3月の旅程>
日本→中国→スペイン→モロッコ(今ココ!)→西サハラ→モーリタニア→セネガル→スペイン→中国→日本
   

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