世界車旅行 ~Wild Animal Driving~
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背景:nana

【 アフリカ 西岸南下の旅 ② 】西サハラからモーリタニアへ!黒こげになってタイヤが外れた車やバスが散乱する恐怖の国境越え

モーリタニア

一泊だけでしたが,西サハラとは今日でサヨナラ.
ダクラはなかなか不思議な街でしたね.

今日はまた国境を越えてモーリタニアに向かいます!

この記事は【モロッコドライブ】の続きの記事になります.
2017年3月の旅行日程はこちら↓

【 モロッコ ドライブ ⓪ 】運転初心者🔰がレンタカーでサハラ砂漠を目指してみた!
2017年3月に中国→スペイン→モロッコ→西サハラ→モーリタニア→セネガルと旅したときの記録です。特にモロッコでのドライブに焦点を当てて紹介していきます。様々な障害に阻まれつつもレンタカーを駆使してモロッコのサハラ砂漠へと向かいます!

【2017年3月18日 午前7時】西サハラのダクラよ,さらば!

【本日の予定】タクシーで西サハラ国境まで向かって,国境を越えて,モーリタニアの首都のヌアクショットへ!

午前7時,少し肌寒いですがよく晴れた気持ちの良い朝です.

一夜明けてホテル・サハラ前のお祭り騒ぎは,ゴミだけ残してきれいさっぱり無くなっていました.あの人たちはいったいどこに潜んでいるんでしょうか?

今日は予約していたタクシーで西サハラ(実質モロッコ)国境まで向かって,国境を越えて,モーリタニアの首都のヌアクショットまで向かいます.
当初は国境通過にどのくらいの時間がかかるか分からないので,国境を通過してモーリタニア側の国境の町のヌアディフまでにしようかと思っていたのですが,ホテルのおじさんが「朝早く7時に出れば大丈夫!」といっていたので,強行軍ですが今日はヌアクショットまで行くことにしました.

7時集合!よし出発!…って,まぁアフリカで時間通りに行こうなんて無理ですよね…

言われた通りに7時ジャストにフロントでチェックアウト
おじさんは,「ドライバーが今来るからまあ待て」と.
そこでフロント前のソファーで待つことにしました.10分くらい待っていると,ドライバーが来ました.

西サハラ<br>ドライバー
西サハラ
ドライバー

 出発は8時くらいになる.もう少し待て

仕方ないのでホテル・サハラ1階にあるカフェで朝ごはんをいただくことにしました.

すると,運転手は,大量の野菜を車に積み込んでいます.
ああ,同乗の客は大量の荷物を運ぶんだねー,そう思っていたら何やら長々と揉め出しました.あれ?いかないのかな??

そうこうするうち日は完全に昇り切ってしまい,時間は9時過ぎ

運転手と,大量の野菜と,私たち二人だけの計3人+野菜で出発することになりました

【恐怖!!】西サハラ〜モーリタニア間の国境緩衝地帯

車は,何かに取り憑かれたかのように猛スピードでぶっ飛ばします.

ダクラの街は,地図を見れば分かるとおり,アフリカ大陸からちょこんと出た半島にある町です.
一旦半島の付け根まで戻って,それから一気に南下です.
太陽はだんだん強くなり,砂漠らしい気候になってきました.

12時を少し過ぎたあたりで一旦休憩です.

さて休憩後,1時間くらい走ったあたりで西サハラの国境検問所です.
私たちはパスポートを持って鉄道コンテナを改造した事務所に入り,モロッコ出国のスタンプを押してもらいました.
いよいよモロッコともお別れ,しばらくは国境緩衝地帯をタクシーは進むことになります.

国境緩衝地帯は,それまでの舗装された道路とは明らかに異なる風態で,完全にオフロードです.
周りはすな砂漠で荒凉とした風景.
その中を止まりそうなゆっくりとしたスピードでタクシーは進みます.
そして,私はこの時,あることに気がつきました.

K
K

あれ?
なんでわざわざ道っぽい場所を避けて凸凹した轍を進んでるんだろ?

その時,反対側からモーリタニアを出て西サハラへ向かう一台の車がやってきました.
その車は普通の道っぽい場所を走ってきます.
すると私たちの車の運転手が窓を開けで,その向かいからやってくる運転手に血相を変えて怒鳴り始めました.

K
K

どゆこと??

わけのわからぬ私の目に飛び込んできたのは,小さな赤い白抜き文字の看板でした.

写真は撮れなかったので,記憶から再現 (nana作)

ん?危険?私のもの(複数形)??I my me mine???

ふとその奥に目をやると,そこには黒こげになってタイヤが外れた車やバスが無数に転々とあるではないですか!!


私は遠い記憶が蘇ってきました.中学の英語の先生がそういえば…

遠き過去から<br>登場
遠き過去から
登場

「英語には結構多義語があって,bookには『本』と『予約する』,mineには『私のもの』と『地雷』って意味があるんだよ.地雷の場合は複数形で使うから,使うならThese mines are mine. (これらの地雷は私のものです)かな?使ったことないからわかんないけどね.ハハハ!…」


背筋を汗が流れて行きました.

K
K

ここ,地雷だ…

思わず言ってしまいました.
黒こげの車を目にしたnanaは全てを理解し,すでに固まっています.
つまり,前の車が走った轍であれば少なくとも安全だけど,誰も走ったことのない場所は,いつどこに地雷があるかわからないということ!

私は全てに合点が行きました.
そりゃ怒鳴るわけです.
対向車が地雷を踏んだら,私たちも巻き添えですから…

恐怖の時間は数分でした.
しかし,人生で最も長く感じた数分でした.

自分の車が地雷を踏まないか?対向車が踏んで巻き添えになったらどうしよう?
星になった先人たちの車はそこかしこにあります.
私たちもあんなふうに…?

緊張感から手に汗を握り,地雷への恐怖で身動き一つとれません.
ただただ,何事もなく通過できることを祈るばかり…

西サハラ<br>ドライバー
西サハラ
ドライバー

ここで降りな
あそこでビザを取れるぞ

一気に緊張感が解けて,いかに自分が肩に力が入っていたのかを実感します.
本当に,誰も地雷を踏まなくてよかった…

【2017年3月18日 午後1時】モーリタニアに到着!

モーリタニア側の国境検問所に到着!ビザを取得しよう!

車はようやくモーリタニア側の国境検問所に到着しました.

さて,国境検問所ではまずはそれぞれ80ユーロずつ支払って,モーリタニアの入国ビザを取得します.

モーリタニア入国に日本人はビザ取得が義務付けられています.
ビザは本来は日本の東京にあるモーリタニア大使館で取るのが普通です.
しかし,東京で問い合わせたところ,現在ビザは国境や空港で直接発給するスタイルに変わったとのことでした.

かつてはモーリタニアはビザが取りにくいことで有名な国でした.
そこでモロッコのラバト(首都)には,モーリタニアのビザを取らせるブローカーが居て,ダミー航空券を発券してビザを取得させ,それを陸路経由に変更するという複雑な手法でビザを取っていたようです.
戦争が終わってもう30年以上経過し,ずいぶん緩和されたんですね!

でも地雷だけは相変わらず残ってしまっているようですが…

ビザを取得したらすぐに車の通関手続きに時間がかかるから歩いてイミグレーションまで向かい,そこで写真を撮られて,ビザにスタンプを押して晴れてモーリタニア入国です!

運転手交代!…ねぇ,早く行こうよー…

さあ,早くヌアクショットへ向かおう!そう思っていたのですが,なかなか運転手と我らの車はやってきません.
あ,来た来た,と思って乗り込もうとすると運転手は「まあ待て」と.
仕方ないから30分くらいぶらぶらして,車に乗りました.
明らかに動き出す気配はありません.

またしばらくして車に戻ってきたら

西サハラ<br>ドライバー
西サハラ
ドライバー

お前たちはこれからこのタクシーに乗り換えだ.

とのこと.

明らかにおんぼろなワゴン車の,しかも本来はタイヤを積み込む隙間に案内されました.
そりゃー日本人は小さいですけど,あの隙間はないなー….
まあしょうがない.
選択の余地はないわけですから.

そして,ダクラからここまで連れて来てくれたタクシー運転手とはここでさようなら.
ここからは別のおじさんタクシードライバーに交代です.

ワゴン車の車中で待っていると,何やらワゴン車の運転手と,ターバンを巻いた男がつかみ合いの喧嘩を始めました.

ワゴン車の<br>運転手
ワゴン車の
運転手

おんどりゃー!!

警察官
警察官

ピーーーーッ!!

あれれ?と思っていると,「ピーーーーッ!!」と警察官が笛を吹いて,大捕物に.
結局二人とも連行され,運転手を逮捕された我々はさらにそこで1時間待つことに.

だんだん涼しくなってきた頃,ようやく運転手は戻ってきて出発となりました.

日は陰り,腹が空く.真っ暗な道を走るタクシーの行先は?

ワゴン車は,西サハラよりも明らかに悪路の砂漠の中を走って行きます.

途中,夕方のお祈りの時間になり,車内のほぼ全ての人はお祈りのために道端に出ました.
私たちはそれを車内から眺めていました.
なんか不思議な光景で,旅に出ていることを実感しますね.

ワゴン車に吹き込む外気がだんだん涼しくなってきた頃,車は砂漠の真ん中で停車.車内から出され,一見の民家に入りました.

荒野に転々と並ぶ民家

中に入ると,プラスチックの赤いボトルに入った水で手を洗うように言われました.
手を洗って待っていると,大皿に山盛りのご飯と,羊肉を塩茹でしたものが出てきました.
私たちはお腹が空いていたこともあり,それをありがたくいただきました.
湿気の少ない場所では羊肉も案外臭くなく,美味しくいただけました.
何より,久々のライスがありがたいです!

食べ終わると日はとっぷりと暮れて闇の中を再びワゴン車は走ります.
3時間ほど走ったあたりで,大きな橋を渡り,大きな町につきました.
目的地ヌアクショットです.

時間は午後9時半を回っています.

ワゴン車は乗客を順に家まで送って行きます.私たちはだんだん焦ってきます.

Kの経験上,こう言う遅い時間だとホテルはしまってしまいます
またそれを見越して大概最後の方の客がウチに来いと言い出し,2・3日身動き出来ない状態となります.
そうなるとセネガルに着いてもどこにも行けず,とんぼ返りになってしまいます.
まあそれもまた旅なのですが….
ただ,イエメンを旅した時,家に連れ込まれると身代金を要求されることもあるから注意するように日本大使館の人に言われたこともあったため,あまり面倒なことになりたくはありません.

そして案の定,11時前に着いた最後の家で,お茶を出されて家に招き入れようとしてきます!
このままでは取り込まれてしまう!
Kは運転手に早くホテルに向かうよう強く言いました.

最後の家の<br>おばさん
最後の家の
おばさん

もう夜も遅いし,家に泊まっていきなさい!
このお茶をどうぞ.おいしいわよ!

K
K

もうホテルに行く!!早く出発して!!!

ようやく理解してもらえ,私たちはHotel Mauricenter Nouakchottに行くことになりました.
全く予約していなかったのですが,まあ4つ星ホテルですし,空いてるでしょう.

そうして12時少し前,Hotel Mauricenter Nouakchottに到着しました. 
部屋は空いており,久しぶりにホテルらしいホテルに泊まることができました.

この日は疲れて,すぐ就寝.

本当に密度の濃い1日でした…
明日は平和だといいな…(儚い願い…)

結び

ある意味今回の旅の一番の山場な回でした.
行った先には,地雷原って…そんなのあり…?

nanaもKには遠く及びませんがこれまで30カ国程訪問してきました.
その旅の中で,何度か

nana
nana

これは,ヤベェ…
短い人生だったな

と,思ったことはありましたが,この地雷原体験はトップスリーに入ります.
怖かったなー…

因みに,日本に帰ってから,「外務省海外安全ホームページ 海外安全情報」を西サハラのページを調べてみると…

外務省ホームページから引用

西サハラのページでご紹介した通り,モロッコ政府が築いた『砂の壁』より東側は赤く染まっていますね.
西サハラの歴史などの情報はこちら↓

【歴史・一般情報・飛行機・レンタカー】西サハラ(帰属未確定地域)ってどんな地域?
西サハラはモロッコの南にある地域で帰属未確定地域です.なぜ西サハラの統治者が消えたのか?それは西サハラ,モロッコ,モーリタニアという3カ国の複雑な関係によるものでした…西サハラの歴史や行き方,道路運転情報を,西サハラに実際に行った時の様子・写真などを交えて紹介しています!

まぁ,でも私たちが通ったところは赤くない…(オレンジではありますが)
…って,あれ?よく見ると…

外務省ホームページから引用
nana
nana

西サハラ,モーリタニア間の国境に沿って赤地域が入り込んでいる!?

正直,外務省のこのリスク表示はいろいろな要因が組み合わさった結果を表示しているものですから,全ての国において実際の旅行時の危険度と合致しているのか,nanaは少し疑問には思っています(私の大好きなアフリカもロシアもほぼ全土黄色以上ですし,ここの地域は白でいいんだ,ふーん,と思うところもありますからね…).
しかしながら,さすが外務省!
1年に1人日本人が行くかどうかも疑わしいような西サハラとモーリタニアの国境地帯の地雷原情報も網羅しているとは,さすがです.

やはり外務省のページも含め,事前の情報収集は重要だと反省です.


モーリタニア滞在も一泊のみ.
次回は,モーリタニアを脱出して,セネガルに向かいます!
モーリタニア〜セネガル間国境に地雷原はありませんでしたが,この国境越えもなかなかの曲者で…
次回をお楽しみに!

<2017年3月の旅程>
日本→中国→スペイン→モロッコ→西サハラ→モーリタニア(今ココ!)→セネガル→スペイン→中国→日本
   

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