世界車旅行 ~Wild Animal Driving~
世界を車で走ってみませんか?

背景:nana

【 モロッコ ドライブ ⑤ 】ラクダ🐪に乗ってサハラ砂漠に行ってみた!

モロッコ王国

サハラ砂漠の入り口,メルズーガの街にやっとのことでたどり着いた私たち.
トラックや山羊,商売上手のモロッコ人との仁義なき戦いは大変でしたが,本当にたどり着けて良かったです…
(詳細はこちら↓)

【 モロッコ ドライブ ④ 】カオスのカスバ街道!運転初心者🔰がカスバ街道に挑む!
1か月前に免許を取得したばかりの大学生nanaがサハラ砂漠を目指して,カスバ街道をぶっ飛ばしていきます.免許を取得して初運転がモロッコという無謀ぶりですが、なんとかなるものですよ!まぁ,障害物だったり迷子になったり大変でしたが…皆さんも挑戦してみませんか??おすすめの経路や道路状況をお伝えします!

2017年3月のモロッコ旅行の日程についてはこちら↓

【 モロッコ ドライブ ⓪ 】運転初心者🔰がレンタカーでサハラ砂漠を目指してみた!
2017年3月に中国→スペイン→モロッコ→西サハラ→モーリタニア→セネガルと旅したときの記録です。特にモロッコでのドライブに焦点を当てて紹介していきます。様々な障害に阻まれつつもレンタカーを駆使してモロッコのサハラ砂漠へと向かいます!

一夜明けて今日は,ラクダに乗って日帰りのサハラ砂漠ツアーに行きます

行き当たりばったりの私たちは,事前にツアーの予約もせずに強行突破!
前日に,明日サハラ砂漠に行きたいということをホテルの人に伝えておいたところ,すぐ手配してもらえました!
ホテルの人が親切で本当に良かった!

因みに,nanaにとって初砂漠!
砂だらけの世界ってどんなところなんだろう?
楽しみでしょうがありません.

それでは,
いざ,サハラ砂漠へ出発!

【2017年3月15日】ラクダに乗ってサハラ砂漠ツアーへ!

今日お世話になるヒトコブラクダ🐪さんを紹介します!

天気は言うまでもなく晴れ.
さあ,今日はサハラ砂漠に出かける日です!

まずはホテルでたっぷり目の朝ごはんをいただいて,それから宿のすぐ後ろの砂漠の入り口へ.
ガイドさんに連れられて,今日お世話になるラクダさんたちのもとへ向かいます.
目の前には砂漠が広がっていますが,地面はまだ硬い土で,砂という感じはありません.

ガイドさん
ガイドさん

今日のラクダはこれだよ!

今日のラクダさんたち!

宿から一緒に歩いてきたガイドさんは,2頭のラクダの前で足を止めました.
しかし,ラクダは激しく鳴いています.

ヒトコブ<br>ラクダ
ヒトコブ
ラクダ

ブゥモオォー!!

Kは昔,まだ平和だったシリアのパルミラ遺跡で不機嫌MAXのラクダにのり,唾を吐かれた上にコートをかじられてダメにされたことがあります….
このラクダは大丈夫…?

ガイドさんに聞くと,
「ああ,こいつは友達と離れ離れにされたから機嫌悪いんだよ.」
とのこと.

ヒトコブ<br>ラクダ
ヒトコブ
ラクダ

友達から離れたくないブゥモオォー!!

とりあえずなだめすかしていざ出発!

【ラクダに乗ろう!】ラクダから落ちないようにね!

ラクダに乗る時には,ラクダに猫のようにハコ座りさせて乗るのですが,ラクダは立ち上がる時,後ろ足から立ち上がります.

おおっと!

気を抜いていると前方につんのめって「落ラクダ」してしまいます.
前に乗った時も落ちかけたのですが,忘れてました.危なかった….

なんとか落ラクダせずラクダは動き始めました.

最初のうち,地面は硬いのですが,しばらくいくと完全な砂地になりました.
こうなると馬やロバなどの蹄を持つ動物はまともに歩けません.
足の裏ぺったんこのラクダでないともはやどうにもなりません.

かつてシルクロードを行く旅人は,すな砂漠の入り口の街,例えばウズベキスタンのヒバなどで馬からラクダに乗り換えて旅をしたそうです.

見渡す限りの砂漠

ラクダは結構高低のある砂丘を越えていきます.
ラクダは平然と砂丘を越えていくのですが,私は前に後ろに暴れ馬に乗ってる気持ちです.

nanaは前年内モンゴルに乗馬旅行をしにいく程度の乗馬女子なのですが,私は水泳と若干のスキー以外運動音痴です.
確かな緊張感で手に汗握る体験ができました.

砂漠はどこまで行っても砂・砂・砂….
確かにラクダは「砂漠を進む船」ですね.

よく見てみると,砂に所々「ハ」の字型の足跡が.

nana
nana

この「ハ」の字型の足跡は,なんの生物の足跡?
トカゲ?鳥?ネズミ?

ガイドさん
ガイドさん

スカラベ(ふんころがし)だよ

隠れられてないよ!
nanaの手の上でわたわた.nanaは昆虫も大好き!

とのこと.昆虫なんですね!あんな大きな足跡なのに….

帰って調べてみたところ,フンコロガシではなくゴミムシダマシの仲間でした.
丸々したお腹,細かな刺,つぶらな瞳…とても可愛いですね!(nana談)

20〜30分程度サハラ砂漠の奥に入ったところにテントがありました.

ガイドさん
ガイドさん

私たちが降りた後,ラクダの前足同士と後ろ足同士をそれぞれ2箇所ロープで縛っています.

K
K

ラクダの足を縛って,何をしているの?

ガイドさん
ガイドさん

ラクダをつなぐところがないからね.
こうしておくと遠くにはいかないんだよ.

そうか!
確かに,この簡易的な作りのテントに繋いでしまえば,力の強いラクダはテントごと脱走を図ることでしょう.
因みに,『足同士を縛る』という保定方法は,牛などの大型動物の手術や分娩時にも使われる方法です.実習でもやりました…(nana談).

テントの中に入るともう食事は準備できていました.

とても美味しかったです!

【サハラ砂漠散策】砂漠に息づく生命

ガイドさん
ガイドさん

1時間後また来るよ!

ということで,少し砂漠を散策.


砂漠はもちろん砂だらけ.
だけど砂だけではありません.

砂漠という過酷な環境の中でも,生き物たちが息づいています.
砂漠のわずかな水分で植物が育ち,
植物を住処にして昆虫たちが生き,
昆虫たちを食べてトカゲたちが砂漠を走り回る.

一見,砂漠は生命に見捨てられた世界のように思われがちですが,
目を凝らせば各所に生き物たちの足跡や動き回る音を感じることができます.


砂漠に行った際には,是非砂の上に寝転がってみましょう.
服に砂がついちゃう,ですって?
せっかくここまで来て服の心配なんてもったいない!

強い日差しで温められた砂はとても熱いですが,それも表面だけ.
少し掘って手を砂の中に差し込むと,ひんやりと涼しくなっています.

仰向けに寝転べば,見渡す限り青い空.
もちろん暑いですが,湿度がかなり低いので汗もすぐ乾き,たまに吹く風がとても気持ちが良いのです.
強い風は吹いていませんでしたが,絶えず風が砂地を撫でていくので,砂に書いた文字はすぐに消えてゆき徐々に遠くの砂山が形を変えていきます.

砂漠は私が思っていたよりもずっと,生き生きとした場所でした.

雲ひとつない青空とオレンジの砂が作り出す世界

サハラ砂漠を堪能.帰ろうか…ってラクダはどこ??

そろそろ出発かな…あれ?ラクダたちはどこに行った??

砂の丘の3つ向こうぐらい,結構遠い場所にラクダを発見!
見つかったラクダは「見つかっちゃった!」というような素っ頓狂な顔をしてたのがおかしかったです(笑).

逃亡ラクダ
逃亡ラクダ

見つかっちゃった!

ガイドさんはラクダのもとへ.
ラクダは探すのに少し手間取ってましたが無事二頭とも身柄確保.

私たちはまたラクダに乗って宿へと帰ります.

サハラ砂漠の夕陽

宿で少し一休み.

夕ご飯までまだ時間があります.
せっかくなので,砂漠の夕陽を見にいくことにしました.

今度は徒歩で近くの砂丘に登ってみます.
砂に足をとられてとても歩きにくい…ラクダさんたちはすごいなぁ.

昼間はあんなに暑かったのに,夕方の砂漠はかなり涼しくなっています.
乾燥していて一面遮るもののない砂漠は,昼は太陽光に熱せられ暑くなりますが,
日が傾くと途端に熱を放出し涼しくなるのです.

しばらく歩いて小高い砂丘の上に陣取りました.
だんだん太陽が沈み,空一面が美しいグラデーションに彩られます.

日が落ちて少しずつ星空に変わっていく様はまさに圧巻!
壮大な景色を前に,時間も忘れてただただ日が沈んでいく様を見つめていました.

…が,あまり遅くまで砂丘にいると遭難の恐れがあります…足元が見えなくなる前に早々に退散しなくてはなりません….

後ろ髪を引かれながらも退散です.
鳥肌のたつ景色というものを初めて知りました.

この美しさと感動は,決して写真に収めることができません.
ここにたどり着くまでいろいろとありましたが,『来て良かった』と心の底から思いました.

結び

いかがでしたでしょうか?

行く前は『砂漠楽しみ!ラクダをもふもふしたいなぁ!』と思っていましたが…正直砂漠を舐めきっていましたね…
私は初めて『言葉を失うほど,美しい景色に圧倒される』感動を知りました.

私は再びメルズーガに行きたいですし,皆さんにもとてもオススメです!

さあ,サハラ砂漠はこれで終わり.
明日から,サハラ砂漠西岸大縦断してセネガルに向かう旅の始まりです!

<2017年3月の旅程>
日本→中国→スペイン→モロッコ(今ココ!)→西サハラ→モーリタニア→セネガル→スペイン→中国→日本
   

【おまけ:今日の動物】ラクダ

分類

ウシ目(偶蹄目)ラクダ科・ラクダ属 Camelus

西アジア原産のヒトコブラクダ(Camelus dromedarius),中央アジア原産のフタコブラクダ(Camelus bactrianusとCamelus ferusの2種がある)の3種類のラクダがいます.

分布

中央アジから中東のイラン・イラク・アラビア半島と,サヘル以北の北アフリカ地域(サハラ砂漠地域)およびオーストラリアに生息しています.

ラクダは水の少ない環境に適応しており,中央アジアに多い「塩性の強い水」でも飲むことができます.
そのため旱魃で死ぬことも少なく,砂漠の遊牧民は牧畜して財産とすることが多いようです.野生動物ではないのですが,アラビア半島には結構たくさんの「野良ラクダ」がいます.

観察の注意

案外気が荒いので苛立ってる時にはあまり近寄らないほうがいいです.

また,車の運転中にラクダが近くにきたら,絶対に避けるか車を止めてください!
車で足を轢いてしまうとラクダが間違いなく運転席に倒れてきてその巨体で運転者と助手席の乗客は潰されて死んでしまいます.

防疫上の注意:中東呼吸器症候群(MERS)

ラクダに接するにあたって最も注意しなくてはならないのは,やはり中東呼吸器症候群(MERS)でしょう.

原因ウイルス

MERSコロナウイルス(コロナウイルス科βコロナウイルス属)

感染様式:①ヒトコブラクダからの感染 ②感染者からの感染

現在のところ,ヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを保有宿主であり,ヒトコブラクダとの濃厚接触が感染リスクであると考えられています.ラクダの未加熱肉や身殺菌乳の摂取も感染リスクがある恐れがあります.
また,限定的ではありますが,咳などによる飛沫感染や接触感染によるヒトーヒト感染の報告もあります.

中東呼吸器症候群(MERS)の発見:サウジアラビアにて発生

2012年6月,サウジアラビアのJeddahにある病院で腎不全と重度の呼吸器症状を呈して亡くなった60歳男性から分離されたウイルスがMERSコロナウイルスでした.
当時サウジアラビアでは,各地で巡礼者の祭典が行われていたこともあり,一気に感染は広がっていき,中東だけでなく,ヨーロッパや北アフリカ,アジアなど27カ国以上に拡大しました.

厚生労働省から引用

驚異の致死率

この感染症の深刻な点は高い致死率であり,致死率は36%以上を記録しています.
厚生労働省によると,2019年11月末までに報告された診断確定患者は2494名であり,そのうち,少なくとも858名の死亡が確認されているとのことです.

同じコロナウイルス科βコロナウイルス属の重大な感染症として2種類あげてみます.

1つは,2002年11月に中国広東省で発生し,東アジアを中心に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)です.
2003年7月時点で患者数8439名,死亡者数812名,回復者数7427名であり,致死率は約9.6%です.

2つめは,2019年11月に中国武漢にて発生が確認された新型コロナウイルス(COVID-19)です.
2020年5月5日時点で,患者数3517345名,死亡者数243401名であり,致死率は約6.9%です.
なお,これは世界各国のデータの総計であり,日本のみでの感染者数15231名(患者数9053名,無症状病原体保有者1077名),死亡者数521名であり,致死率は約5.8%です.

他2つの感染症と比較するとMERSによる致死率の高さが際立っているかと思います.

※致死率=(一定期間における死亡者数)/(一定期間における患者数)×100

症状

無症状例から急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を来す重症例まであります.
発熱,冷感,頭痛,空咳,呼吸困難,筋肉痛など非特異的症状を呈し,SARSと異なり,拒食,吐き気,嘔吐,腹痛,下痢といった消化器症状を伴うことがあります.
また,腎不全の発生も報告されており,重症患者の22-70%で腎移植が必要になってしまうとのことです.

診断

現在,MERSに有効な抗ウイルス薬やワクチンは存在しないため,早期診断と対症療法が主な治療法になります.
診断方法として
①MERSコロナウイルスRNAの検出(PCRやLAMP法)
②抗MERSコロナウイルス抗体の検出(Protein Microarrayなど)
③以前MERSコロナウイルスに感染していたかを体液性応答を元に特定する(確定診断)
以上3つの方法が実施されています.

対策

月並みな方法にはなってしまいますが,MERS流行地域(サウジアラビア,アラブ首長国連邦,ヨルダン,カタール,オマーン,クウェート,イエメン)では,ラクダに触れないようにしましょう.

また,ラクダは唾液を飛ばしてくることがあり,文献的根拠は見つけられていませんが,ウイルス性の呼吸器感染症では,鼻汁や唾液に多量のウイルスを含んでいる場合があるので,MERSも同様の可能性があると考えられます.
流行地域のラクダの唾液等の体液にも十分に注意し,触れてしまった場合には,よく洗剤を使用して洗うようにしましょう.

潜伏期間は2~14日間(中央値5日程度)なので,流行地域に旅行後,感冒様症状(風邪の症状)があれば,早めに病院に行くようにしましょう.

病気に気をつけて,楽しい旅行ライフにしましょう!

引用文献

・厚生労働省 中東呼吸器症候群(MERS)について
・2018.2.24, Aasiyah Chafekar and Burtram C. Fielding
 Review MERS-CoV: Understanding the Latest Human Coronavirus Threat
・2019.4.7, Ayman Mubarak , Wael Alturaiki , and Maged Gomaa Hemida
Review Article Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus (MERS-CoV): Infection, Immunological Response, and Vaccine Development
・2003.9.1, 岡部信彦(国立感染症研究所感染症情報セン ター長)
『感染症の診断・治療ガイドライン(』生涯教育シリーズ 51)
 重症急性呼吸器症候群 SARS:severe acute respiratory syndrome

・2020.5.5, World Health Organization
 Coronavirus disease (COVID-19) Situation Report – 106

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