世界車旅行 ~Wild Animal Driving~
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背景:nana

【 セネガルの旅 ② 】バンディア自然動物保護区とピンクレイク!〜サファリでサルと戯れ,大量の塩に圧倒される〜

セネガル

さて.今日もいい天気です.

本日は,バンディア自然動物保護区というセネガルにある動物保護区でサファリ(仮)を楽しんだのち,ピンクレイクを観光する予定です.

今日も楽しく観光していきましょう!

この記事は【モロッコドライブ】及び【アフリカ西岸南下の旅】の続きの記事になります.
2017年3月の旅行の日程はこちら↓

【 モロッコ ドライブ ⓪ 】運転初心者🔰がレンタカーでサハラ砂漠を目指してみた!
2017年3月に中国→スペイン→モロッコ→西サハラ→モーリタニア→セネガルと旅したときの記録です。特にモロッコでのドライブに焦点を当てて紹介していきます。様々な障害に阻まれつつもレンタカーを駆使してモロッコのサハラ砂漠へと向かいます!

【2017年3月21日】バンディア自然動物保護区でサファリを楽しもう!

セネガルにある動物保護区,バンディア自然動物保護区という場所

今日はバンディア自然動物保護区という,セネガルにある動物保護区に行きます!

広大な草原をジープに乗って動物を探しに行く…
というより,イメージとしては横浜ズーラシアとか富士サファリパークに近いです.

もちろん鉄格子などはないのですが,道が土道ではありますが整備されており,普段からエサをあげているので,草食動物がエサを求めて集まってきているといった感じの場所です.
肉食動物は残念ですが,この保護区では見られません.

ここまで来て本格サファリをしないのはちょっと残念ですが,本格サファリに行くには2泊しないといけないとのこと.
2泊も使ってしまうと帰れなくなってしまいますので,今回は断念です.

次回のお楽しみということにして,今回は動物を間近で見ることを楽しむことにします!

私たちを出迎えてくれたのは,超巨大な木でした

ツアーの人は朝8時にロビー集合とのことでしたので,急いでご飯を食べて,ホテルをチェックアウト.
集合場所に行くと,黒人のおじさんが近づいてきました.
今日は彼がドライバーのようです.

ライトバンに乗って,ホテルから1時間くらい.
幹線道路からちょっと入ったところにバンディア自然動物保護区はありました.

ついたらすでに白人の老人3人組が居て,もう少し人が集まったらサファリに行くとのこと.
しばし入り口で待機です.

保護区に入ってすぐ出迎えてくれたのは,
めちゃくちゃでかい木!!

大人二人で抱きついても,幹の直径の半分にも届きません.

nanaは木にしがみついて登ろうと四苦八苦.
それを,白人の老人さんたちが,ニコニコしながら見ていました.
…nana,笑われてますよ…あなた気付いていませんが…

巨木と戯れたり,走って横切っていったサルを追いかけたり…
まだ入口ですが,セネガルの自然との触れ合いを楽しんでいました.

巨木が私たちを出迎えてくれました.
(バンディア自然動物保護区入口にて)

そんなふうにマイペースに待っていたのですが,なかなかサファリは始まらないようです.
ついに,公園の人が「結局誰も来ないから,5人で借り切って出ないか?」と声をかけてきました.
OK!では,8人乗りを借り切っていざ出発です!

サファリ(仮)を堪能!

私たち二人と白人の老人3人組をのせたジープは,最初に背丈7-8mぐらいの木がまばらに生えている地域を走っていきます.

【1匹目】漆黒の羽を纏う世界最大の鳥類

最初に出会ったのは,ダチョウでした.

かなり近づいても,逃げようとしません.
ずいぶん人の存在に慣れているようです.

中には,車に着いてくる個体もいました.

さすが,世界最大の鳥類!
すごい迫力です.
ダチョウは鳥類ではありますが,飛ぶことはできません.
代わりに強靭な足を持っており,走ることを得意としています.
因みに,ダチョウの足の指はたった2本しかありません.鳥類というと,ニワトリを思い浮かべてしまうnana(獣医学科)としては,指の少なさにびっくりです(ニワトリは4本指).

ジープに乗って走っていると,たくさんのダチョウと出会うことができました.
しかし,かつてアフリカ全域に生息していたダチョウも今では,アフリカの一部地域にしか生息していません
かつては,なんとアラビア半島にも生息していたそうです!
今では絶滅してしまいましたが…

ジープの横を悠々と歩いていきました
この自然保護区にはかなりダチョウがいそうです.

【2匹目】らせんを描く美しい角の持ち主

続いて出会ったのは,クドゥ(またはクーズー)です.

クドゥはウシの仲間で,胴体に細くて白い縞があるのが特徴です.
また,オスにはねじれた立派な角をもっています.
この特徴的な姿は地元の人たちにも愛されいるようで,ジンバブエの国章のデザインには2頭のクドゥが描かれています.

また,クドゥは食用として養殖もされています.
ナミビアのディナーでステーキを食べましたが,まさに牛肉!
美味しかったです!

オスのクドゥ.鳥が乗っていても気にしません.

【3匹目】良くも悪くも世界中の人気者

次はシロサイです.

サイの仲間は,シロサイにしてもクロサイにしても個体数が減少しており,特にクロサイやシロサイの亜種であるキタシロサイは絶滅の危機に瀕しています.
個体数が減っている原因は,やはり乱獲.
漢方や装飾品として根強い人気があり,高価に取引されます.

しかし,動物保護区の人たちもサイを守るために,様々な工夫をしています.
角に色がつくと価値がなくなるため角に色素を注入したり,あらかじめ角を切り落としたり….
サイの角は角質の塊(爪のようなもの)でウシの仲間と違って頭蓋骨の一部ではありません.
ですので,角の先を切るだけであれば,出血することはなく,サイの生活を害することもありません.
実際に切る時には,麻酔が必要にはなりますが…

とてもユニークで可愛いサイですが,
かなり気性が荒いので野生で出会ったら不用意に近づかないようにしましょう!

乱獲対策で角の先が切り取られています.

【4匹目】有名だけどミステリアスな魅力もあるのよ


道を走っていると,シマウマが道を横切っていきます.

野生のシマウマはかなり警戒心が強いはずですが,ここのシマウマは「また来たのね」とでも言っているよう.
逃げるそぶりもありません.

シマウマの最大の特徴である縞模様.
諸説ありますが,なぜ縞模様なのか未だわかっていません.

近年提唱された面白い説が,『ツェツェバエといった吸血性のハエから身を守るため』という説です.
これが,かなり有力な説らしく,ツェツェバエは縞模様を好まないんだとか.

ツェツェバエにはnanaも大変お世話になったので(獣医学科,寄生虫学)とても興味深いところです.

「今,私はここを通りたいの.あなたたちは待ってなさい.」
「またヒトが来たわよ!」
「ごはんくれるなら,考えてあげてもいいけど?」

【5匹目】網目模様の美しい超高血圧なあのお方

私たちを乗せたジープはどんどん進んでいきます.
周囲の木はだんだん大きくなり,所々に巨木が生えています.

すると木の影からかなり背の高い動物が.
キリンです.

ある2頭の個体が首をうちつけあっていました.
たぶん,若いオス同士の儀式的なけんか『ネッキング』でしょう.

サファリっぽさはボチボチと言ったところですが,サファリと違ってどの動物も車で間近まで近づけるのでなかなかの迫力でした!

【6匹目】真面目に感染症学を勉強している獣医学生なら誰もが恐れる

さて,一通り見て回った後,ワニの群れる池を横目にカフェでお茶をいただきます.

するとそこにサルがやってきました.

nana
nana

このサルはなんていうサルなの?

<span class="fz-12px">ガイドさん</span>
ガイドさん

グリーンモンキーだよ!

nana
nana

…グリーンモンキー.
ミドリザル ,か…

なんか聞き覚えあるような…
何か重要なことを忘れてる気がする…

専門が獣医のnanaはいい顔しませんでしたが,ついついKは可愛くなってグリーンモンキーにお砂糖をあげてしまいました.
すると,「もっと寄越せ!」と威嚇されてしまいました….


そして,nanaが忘れていたある『重要なこと』を思い出せていれば,このサルたちにお砂糖をあげようということにはならなかったはずなのですが…
何故かは,『【おまけ】今回の動物:グリーンモンキー(ミドリザル )』でお話ししますね.

ワニたちとカフェ休憩
ここに座りたいなら,俺たちの許可が必要だぜ!

これでサファリ体験は終了!
次はピンクレイクに向かいます.

世にも不思議なピンクの湖,ピンクレイク!大量の塩に囲まれてしまった!

この後車で30分ほど移動してピンクレイクへ.

ここは高い塩濃度の湖で,塩の精製を行っています.
ピンクに見えるのは水にすむ好塩性細菌(微生物)がいるからです.

たくさんの地元の人たちがピンクレイクで働いています.
セネガル「塩の影からこんにちは!」

お腹が空いたよ!晩ご飯を食べに行こう!

折り鶴は,日本人最大の一発芸!

この後ホテルに戻ったのですが,まだ時間が早いので,ダウンタウンへ夕食を食べに行き,それから空港へ行くことにしました.

昨日目星をつけておいたセネガルの民族料理のお店は,夕方17時オープン.
まだ1時間ほどあります.
そこでファストフードの店で時間を潰すことにしました.

手持ち無沙汰になったnanaが,貰った紙ナプキンで鶴を折り始めました.

まあ,ストローを包んでいる紙のカバーをシワシワに引っこ抜いて水をかけて「蛇ー!」ってやったり,タバスコで10円玉をピカピカにしたりするのと並んで,ナプキンの折り鶴は日本人には基本技!

ですが,どうやら西アフリカの人々には大層珍しかったらしく,お客さんのみならず店員さんまでnanaをガン見です.
完成したら店員さんは拍手喝采!


ちょうど時間だったので,店員さんにプレゼントしてレストランへ向かいました!

セネガル伝統の炊き込みご飯「チェブジェン」美味しい!美味しいのだが…

レストランは以前Kが国連職員の知人と一緒にきた(連れてこられた)お店でした.

魚と野菜をのせた炊き込みご飯の「チェブジェン」が美味しかったので,今回もそれにしてみました.
前は国連職員3人とKの4人だったのでさして多いとは思わなかったのですが,今回はnanaとKの二人.そのうち一人(K)は結構少食です.

でてきたチェブジェンは結構な量.
しかしnanaは歩き回った上に待たされて腹減りMAX!
見る見る食べていきます.
彼女は女の子の割にはたくさん食べる方ですが,今日はそれにもましてよく食べてます.
私も食べ進んで行ったのですが,nanaが食べているあたりに大量の唐辛子が入っていて結構な辛さです.
結局二人でほぼほぼ食べ切ってしまいました

満足してホテルに帰り,ロビーで少し休んでから空港かな?そう思っていたところ…

nana
nana

ちょっと,トイレ行ってきて良い?

K
K

食べすぎたの?

nana
nana

お腹痛い…

ああ,普段は絶対に食べない大量の唐辛子のせいだ!

そう思った時にはもう,時すでに遅し.nanaは青い顔をしています.
これからスペインへ夜行フライトなのに…

暗雲が立ち込めてきました.どうなることやら….

そしてこの時,Kも焦りから重大なミスを犯していることにまだ気がついていませんでした.
Kが自分のミスに気づいたのは,ヨーロッパについた後のことだったのです.

結び

セネガルを存分に楽しんだ二人でしたが,nanaの様子が…

次回は,セネガルを脱出し,スペインに戻っていきます.
無事,日本に辿り着けるのか…?

次に続きます!

【おまけ】今回の動物:グリーンモンキー(アフリカミドリザル )

分類

霊長目・オナガザル科・サバンナモンキー属 グリーンモンキー(アフリカミドリザル )

分布

西アフリカ南部のセネガル・ガンビアからマリ南部,ギニア,コートジボワール北部周辺地域に生息しています.

観察の注意

Kは砂糖をあげてしまいましたが,
野生動物には人の食べ物を与えないでください!

例えば日本でも
餌付けされたニホンザルが観光客の持ち物を奪ったり,民家に侵入したりといった事件が各地で起きています.
ニホンザルが悪者かというと違います.
そもそも生ゴミを放置したり餌付けしたりすることで,『人の食べ物は美味しい』と教えてしまったからです.

『以前は食べ物くれたのに,急にみんな美味しいものくれなくなった!』
となると,動物は人を襲うようになります.


動物に間違った教育をするのはやめましょう.

防疫上の注意:マールブルグ病(ミドリザル 出血熱)

原因ウイルス

フィロウイルス科マールブルグウイルス属マールブルグウイルスが原因.
同じフィロウイルス科の重要なウイルスとしてエボラウイルス(エボラ出血熱の原因ウイルス)がある.

感染様式

自然界におけるこのウイルスの宿主はエジプトルーセットオオコウモリRousettus aegyptiacusが有力視されています!
なお,マールブルグを保有しているコウモリはウイルス血症等を生じるものの,症状を示すことは少ないとのこと.
実験的にはアカゲザル,ミドリザル,モルモット,ハムスター,マウス等で100%感染を起こし,致命的です.

エジプトルーセットオオコウモリの生息地
引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Egyptian_fruit_bat

感染様式として,コウモリやウイルスに感染した動物からウイルスがヒトの口や傷から侵入し肝臓や腎臓の細胞,免疫細胞等の破壊を引き起こします.

更にヒトからヒトへの感染も確認されており,感染者や患者の 血液,体液,分泌物,排泄物などの汚染物との濃厚接触に由来します.

マールブルグウイルスの感染様式
引用:【Review】Marburg virus pathogenesis – differences and similarities in humans and animal models

マールブルグ病(ミドリザル 出血熱)の発見

1967年8月,当時西ドイツのマールブルグ,フランクフルト,ユーゴスラビアのベオグラードでポリオワクチン製造および実験用としてウガンダからアフリカミドリザルが輸入されました.
そして,そのアフリカミドリザルの解剖を行ったり、腎や血液に接触した研究職員や清掃従事者ら25 名に突如熱性疾患が発生,7名が死亡(致死率28%)しました.
幸いなことに,患者に接触した医療関係者など6名に二次感染が見られたものの死者はいませんでした.

マールブルグ病の最初の発見時の感染源がアフリカミドリザルであったことから,ミドリザル 出血熱とも呼ばれています.
ただし,1967年以降もアフリカを中心に何度か流行が生じていますが,サルが関与した流行は1967年の発生のみと言われています.

驚異の致死率

1967年以降,何度かマールブルグ病の流行が起きています.
中でも,感染者数の多かった流行について引用してみます.

1999年(コンゴ民主共和国):154人の感染者,致死率83%
2005年(アンゴラ):252人の感染者のうち227人が死亡,致死率90%

発症した場合の致死率がなんと90%に及ぶことも!
恐ろしい感染症は世界に数多ありますが,致死率90%という凶悪な感染症はなかなかありません.
日本の感染症法でも『1類感染症』に定められています.

症状

潜伏期間は3〜10日であると言われています.
症状は同じフィロウイルス科のエボラウイルスが原因であるエボラ出血熱に類似しています.

初期症状はいわゆる『インフルエンザ様症状』で,発熱、頭痛、筋肉痛、背部痛、皮膚粘膜発疹、咽頭痛などがみられます.
続いて,激しい嘔吐や水様性下痢を生じます.
発症後5〜7日で躯幹,臀部,上肢外側等に境界明瞭な針の先ぐらいの大きさの細かいの暗赤色丘疹(虫刺されのような小さな腫れ)が毛根周辺に現れます.これは診断する上で重要な所見です.
更に重症化すると,散在性に暗赤色紅斑が顔面,躯幹,四肢にみられるようになります.

診断

血液や咽頭ぬぐい液,胸水,体液などを使って,ウイルス分離またはELISAや免疫蛍光法による抗体の検出,PCR 法等によるウイルス遺伝子の検出によって診断されます.

治療方法・対策

有効なワクチンも薬もないため,発症してしまうと対症療法するしかありません.

エボラ出血熱についてはワクチンがようやく完成し,2018年8月に始まったコンゴ民主共和国での流行に対して,大規模なワクチン接種が行われました.
これにより,2020年2月17日以降の新たな発症は報告されていないとのことです.
ただ,マールブルグ病もエボラ出血熱も同じ科のウイルスだからと言って,エボラ出血熱のワクチンがマールブルグ病にも使えるというわけにはいきません.
マールブルグ病のワクチンは,エボラ出血熱のワクチンの開発に40年かかったことと同じ理由で,当分の間完成することはないでしょう.
なので,対策としては『感染しないようにする』しかありません.

野生動物,特にコウモリやネズミはマールブルグに限らず多くの病原体の宿主となっていることが多いので,近づかないようにしましょう.
また,サルに感染する病気でヒトも感染する病気は重篤な病気が多いため,野生のサルに近づくことは危険です.


楽しい旅行生活を送るために,感染しないような工夫をしましょう.

引用文献

Wikipedia:Egyptian fruit bat 
NIID国立感染症研究所 マールブルグ病とは
・2019, Kyle Shifflett and Andrea Marzi
【Review】Marburg virus pathogenesis – differences and similarities in humans and animal models
・2020.4.10, コンゴのエボラついに終息へ、決め手はワクチン接種
・2017.4.16, Pierce Reynolds, Andrea Marzi
Ebola and Marburg Virus Vaccines

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